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2019年10月26日土曜日
今上陛下と水問題
昨日、「チャールズ皇太子殿下と環境問題」というテーマで投稿したので、
本日は、「今上陛下と水問題」で一筆させて頂く。
既に、本年(平成31年、2019年)4月、平成最後の月に出版された
今上陛下のご著書、徳仁親王『水運史から世界の海へ』(NHK出版)については、筆者のSNS(Twittter及びfacebook)で紹介したり、日本文化チャンネル桜の番組「Front Japan桜」(2019年10月14日放送)で取り上げたりした。が、ここで改めて、きちんと書き留めておきたいと思う。
10月22日の即位礼正殿の儀の後、当初行わる予定だった祝賀御列の儀(パレード)は、10月12日に関東甲信越から東北地方を襲った台風19号の影響で、11月10日に延期になった。
台風による水害等に、最もお心をお寄せになり、最もご心配されていらっしゃるのが、
今上陛下でいらっさhることは、上掲のご著書を読めばよく理解できる。
今上陛下は、様々な水の歴史、水の問題、水の文化等のご専門家でいらっしゃる。
本年の台風15号が風台風で千葉県等に甚大な被害をもたらしたのに対して、10月12日の台風19号は雨台風だった。大雨の影響により、52河川で堤防が決壊し、200以上の河川が氾濫した(海上保安新聞2019年10月17日号参照)。
今上陛下は、ご著書の中で、日本の河川の特色を、河状係数という数値を挙げて説明されている(43頁)。河状係数とは、河川の流量が最大になる時と最小になる時の比率を数値化したもので、数値が低い方が河川の流れが安定しているそうだ。例えば、ドイツのライン川が16で英国のテムズ川が8、世界の主要河川の平均が35以下であるのに対し、日本の河川は淀川が104等、総じて高い。「河川敷」があるのも日本の河川の特徴で、それは氾濫原だと述べられている。
また、「巨大化する台風による洪水」については(213頁)、「日本では、全国各地で毎年のように甚大な水害や土砂災害が発生しています。」と仰られた後に、近年、ますます集中豪雨(1時間に50ミリ以上の降水量)の頻度が多くなっていることを指摘されていらっしゃる。1976年~1985年の10年間では平均174回であったのに対し、2004年~2013年の10年間では平均241回と、約1.4倍に増加しているそうだ。
そして、気候変動と水災害には、因果関係があることを、日米独各国の共通傾向をグラフでお示しなり説明された(30-32頁)。
今上陛下は、その他にも、日本における地震による津波被害に関しても、古代からの資料を読み解かれてご研究されている。上掲の御著書には、かねてからご研究されていらっしゃる水運史も幾つかおさめられている。
今上陛下は、水問題は、貧困や紛争、エネルギーからジェンダーまで世界の様々な問題に関係していて、水のご研究を通して、視野が広がり、水に「感謝しています。」と仰られる(5頁)。
今上陛下は、水道水が飲める日本は世界でも貴重な国であることを大学生の時にご実感されたそうだ。また、登山をしながら湧き水がとても美味しかったことを綴られながら、ネパールで水を汲みに来ていた女性や子供の姿が今でも目に浮かぶそうだ(「はじめに」より)。世界中、どこにいらしても、行き交う方々に御心を寄せられる。
即位礼正殿の儀が恙なく執り行われた後、それまであまりお天気が良くなかった空に光がさし虹がかかったと言う。虹は、天の水滴が美しく輝いたもの。きっと、
天皇陛下の御即位を、「水」も祝福してくれたのだろう。
水害を思うと、お亡くなりなった方のご冥福をお祈りし、被災された方の回復、復旧が速やか行われることを願うばかりである。。
今上陛下もおっしゃるように、人間は水がなければ生きていけない。同時に、その水は多すぎても、不足してもいけないのである。
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