昨年(2019年)冬に中国の湖北省武漢市で発生した新型コロナウィルスの感染は、その感染の拡大規模を、中国から世界全土へと広げていった。
筆者は、本年(2020年)1月27日から、日本文化チャンネル桜の「フロント・ジャパン桜」と言う番組で、この武漢肺炎、新型コロナウィルス(COVID-19)の感染症は、尋常ではない事態をもたらすと、ほぼ毎週月曜日ごとに警告してきた。昨日3月30日で、丁度2か月が経ち、様相は、想像以上に悪くなっていることを懸念している。毎日の感染者数や死者数は、日ごとに増えるばかりである。医療現場や、検疫所、保健所等の現場での必死の対応に感謝する。筆者は、自らの非力を感じながらも、2か月、自分なりに世界情勢を分析してきて、今回発見し、今後、日本が早急に取るべき対応について、以下、記しておきたい。
COVID-19始め、感染症の特徴は、人から人へうつすことで患者数が増えることである。そして、その人から人への感染は、人の移動によって急増し、また、国境を越えて莫大な広がりをみせる。今回の事例が、まさにグローバル化時代の怖さを語っているが、この2か月を見てきて、筆者は、今回の感染拡大の流れには、3つの波(段階)があることを発見した。第Ⅰ波は、1月末の春節の休みを利用した中国人の大移動であった。武漢から中国全土及び世界への移動がそれである。例えば、北海道の雪まつりに中国の団体観光客が訪れていたのも、この頃である。その人達から、世界の各地に新型コロナウィルスが広がり、それが発症してきたのが2月中旬以降の第2波と言えよう。その頃から、各国は国境を閉め始めたが、既に国内に感染者が多数いる。その人達の移動を介して感染がさらに拡大したのが3月で、第3の波と言えよう。すなわち、①武漢から中国や世界へ、②世界から世界へ、③国内から国内へ、と新型コロナウィルスの感染は拡大していった。
中国は、第1波で国境を閉め、国内移動を制限した。既に、第3波になっていたので、慌ててやった。そのため、多くの死者を出したが、国境封鎖と移動制限の効果が、そろそろ出て来た。
台湾は、第1波から第2波の段階で、早くに国境を閉め、国内では徹底した消毒と検温チェックを行い、感染拡大を、いまのところ抑えている。
欧州(EU)や米国は、日本より早めに第2波で外側の国境を閉め始めたが、中の移動は制限していなかったので、そこでの感染が拡大した。そして、今、第3段階で、国内、市内の移動制限をしている国もあるが、それまでの患者数が多いので、医療崩壊をしてしまった所は、死者が増えている。イタリアでは3週間以上の都市封鎖、英国では2週間以上の都市封鎖を実行し、多少の効果が出て来たと、ロイターで報道されていた。
さて、日本の場合はどうか。現在は、第2波から第3波の過程にあると言えよう。国境を閉じるのも遅く、移動制限もないままで、今後が心配である。一般国民1人1人の衛生観念や健康意識が高いので、マスク、手洗い、うがい等で感染の急拡大を防げていた点はあるにしても、先進諸国で国境を完全には閉鎖せず、移動制限もない数少ない国として、まだ感染者が入国し、さらに国内でも感染も広がる危険がある。多くの日本企業は、既に自宅勤務(テレワーク)等を実施しているが、政府が早めにある程度の移動制限をしないと、感染は止まらないだろう。他国が収束傾向にある時期に、日本が医療崩壊しかねない可能性さえある。なお、最近の世界全体の状況を見ると、今まで感染者数が少なかったアジア、アフリカ、中南米等の諸国でも、感染が増えている。この点も気になるところであり、早め早めの入国制限が必要だろう。来年のオリンピック・パラリンピック開催国としても、日本の対応は、世界が注目するところとなる。
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