2020年4月25日土曜日

出雲大社から世界への祈り

 ひと月前の2020年3月24日、お彼岸が明けた翌日、出雲大社をお参りした。
松江城から宍道湖のほとりを通って、出雲大社に到着すると、真っ先に巨大な日の丸が目に入った。


  元自衛官の方でさえ、こんな大きな日の丸は、自衛隊でも持っていないのではないか、というほどの見事なもの。この日は、ご覧の通りの快晴で、雲一つない。地元の人達も、「八雲立つ出雲」というように、この辺りは常に雲ががっていて、こういう日は珍しいという。
鳥居から拝殿へ。
大きな注連縄(しめなわ)の拝殿で参拝。
普通、神社のお参りの仕方は、「2礼2拍手1礼」だが、
出雲大社では、「2礼4拍手1礼」。
注連縄の大きさにも誘われ、大きく4拍すると、氣も心も大きくなる。
拝殿の先が本殿。神様により近い所で、改めて手を合わせる。

 出雲大社の御祭神は、大国主大神。
大国主大神と天照大御神との関係は、出雲大社の以下のサイトで読むことが出来る。
一部を引用しておく(下線は筆者)。
http://www.izumooyashiro.or.jp/about/ookami

「大神様は国づくりの後、築かれた国を私たち日本民族を遍く照らし治める天照大御神様へとお還し(国土奉還=国譲り)になりました。そこで天照大御神さまは国づくりの大業をおよろこびになり、その誠に感謝なさって、これから後、この世の目に見える世界の政治は私の子孫があたることとし、あなたは目に見えない世界を司り、そこにはたらく「むすび」の御霊力によって人々の幸福を導いて下さい。また、あなたのお住居は「天日隅宮(あめのひすみのみや)」と申して、私の住居と同じように、柱は高く太い木を用い、板は厚く広くして築きましょう。そして私の第二子の天穂日命をして仕えさせ、末長くお守りさせます。」


「大神様は国づくりの最中、農耕・漁業・殖産から医薬の道まで、私たちが生きてゆく上で必要な様々な知恵を授けられ、多くの救いを与えて下さいました。この慈愛ある御心への感謝の顕れが、一つ一つの御神名の由来となっているのです。
今では広く“えんむすび”の神として人々に慕われていらっしゃいますが、この“縁”は男女の縁だけではなく、生きとし生けるものが共に豊かに栄えていくための貴い結びつきです。そして、日本の悠久なる歴史の中で、代々の祖先の歩みを常に見守られ、目に見えないご縁を結んで下さっているのが大国主大神様なのです。」 

伊勢神宮(三重県伊勢市、御祭神は天照大御神)と出雲大社は、陽と陰の関係とも言われる。太平洋と日本海という点でもそうである。そして、北海道から沖縄県の西端の与那国島までのほぼ真ん中に位置する。

 上記の引用で驚くべき記述に気付く。私達の古代からの国造りでは、既に、農業のみならず、医療まで考えられていたこと。「古事記」の「因幡の白兎」のお話でも、怪我して苦しんでいた兎(うさぎ)さんに、治療方法を親切に教えてあげて助けてあげたのが大国主大神様であった。
(http://www.izumooyashiro.or.jp/about/inaba を参照。)
 新型コロナウィルスで、日本も世界も苦しんでいる中での参拝。
大国主大神様は、だまされて苦しんでいるものを医療の知恵で助けることを行動でお示しになっていたこと、「生きとし生けるもの」の共存共栄を唱え、見えない「ご縁」という力で見えない世界を司って下さっている。
 とても有難いご存在。日本の国造りの神様は、この悩み、不安な私達の気持ち、心を癒して下さる、と感じた。
 見えない敵には、見えない力が一番効果的かも、そんなことにも気づかされた。
  
 10月のことを神無月と私達は呼ぶが、旧暦の10月、全国の八百萬神様が出雲大社に集まる。出雲では、その月を「神在月」と呼ぶ。その神々のお宿となるのが、下記写真の建物「十九社」。どんな風に御在室されるのか、想像してみた。




本殿を裏から見た所、うさぎさんも手を合わせる

注連縄の大きいことでよくマスメディアで取り上げられるのが、神楽殿。コンサート等で使用されることもある。左下は真下から撮影したもの。どうやって製作したのか、何人がかりで縄をしめたのだろうか。重さ約1トンと聞いたことがあるが、しっかりつるすのも大変だろう。国造りは、それだけ偉業ということだろうか。 




夜、お夕飯を遅めにして、夕日を拝みに行った。午後6時半頃が日の入り。
 神在月に八百萬神様がご到着するという、日本海に面した稲佐の浜に足を速めた。
 出雲の地から、世界の安泰を祈った。特に、新型コロナウィルスの収束を祈願した。



ただただ祈る。静寂。波の音。風の流れ。
往復、「神迎の道」を通った。神在月に、稲佐の浜に着いた八百萬神様が出雲大社まで向かわれる際にお通りになる道らしい。神を迎える道。日本海に向かって道の入り口に、灯篭のようなものが2柱、門のように立っていた。
 


夕食時、「神様と同じものを召し上がって頂きます。」と出されたのが、下記の御膳。海の幸、山の幸、豪華というより質素である。
 昨年の大嘗祭の報道で見たものと似ている印象。
 感謝して頂いた。出雲にいると、どこでも、「神様」「神様」と言われる。
 「八雲立つ」出雲。雲に隠れていつも見守っていて下さるのかも。w

こんな偶然があって良いのだろうか。いつもあまり見ることのないテレビ。
 この夜、スイッチを付けたら、NHKで、出雲出身の竹内まりやが昨年の紅白で歌った「いのちの歌」の特別番組がやっていた。
 今、この時、この場所で、涙が出た。忘れられない。
♬本当に大事なものは、隠れて見えない♪
♪この命に、ありがとう♬
もう一つ、不思議な偶然が起きた。このブログの3月20日付で、私は、「東京オリンピックは、中止でなく、延期されるべきだ。」と書いた。日本側とIOcで延期が正式に決まったとのニュースがこの3月24日に流れ、出雲で知った。
 私が多くの人の気持ちを記した『オリンピックと日本人の心』(内外出版)は、生命(いのち)で始まり、感謝でおわる本である。「いのちの歌」が主題歌となった出雲を舞台にした連続テレビドラマ「だんだん」は、出雲方言で「ありがとう」の意味と聞いた。何か見えないご縁を感じた。

「オリンピックと日本人の心」は、本年、一部内容を変えて、‛The Olympics and the Japanese Spirits’(The 22 Century Art)として英語で出版された。
 そこで新たに追加したのが、「音楽とオリンピック」についてだが、その中で、私は、ヴァイオリニスト吉田美里さんについて触れた。
 今日、このブログを書きながら、出雲大社のサイトに、吉田美里さんを見つけた。
http://www.izumooyashiro.or.jp/hounous/7308
 彼女は、昨年、(一般にコンサートは神楽殿で行われるが)より神様に近い拝殿で、日墺国交150周年を記念した奉納コンサートを行なった。

0 件のコメント:

コメントを投稿