3月25日に福島からスタートした聖火は、栃木、群馬、長野、岐阜、愛知、三重、和歌山、奈良、大阪から四国の徳島、香川、高知、愛媛とまわり、九州の大分、宮崎、鹿児島から沖縄まで南下をした後、再び九州に戻り、熊本、長崎、佐賀、福岡を通って、本州の山口、島根、広島、岡山、鳥取、兵庫、京都、滋賀を経て、北陸の福井、石川、富山から、新潟、山形、秋田、青森を通過し、日本最北端の北海道に引き継がれた。
毎日、聖火を追いかけながら、各地を訪問する旅をオン・ラインでしているが、
今回、以下のレポートを見て、少し、寂しさを感じた。
アイヌ文化を世界に発信する職員「つないでいく聖火が1つの灯となる」 北海道 東京2020オリンピック聖火リレー開催レポート (olympics.com)
コロナ禍であるとは言え、立派な舞台に、聖火ランナーはただ一人。周囲に、関係者は多数見受けられるのに。たとえ「緊急事態宣言」中と言っても、大阪、兵庫、沖縄、岡山等でも、これほど寂しいことはなかった。まして、北海道の緊急事態宣言は、6月20日に解除の方向で調整中ということである。
北海道は、東京オリンピックの最後を飾るマラソン競技が札幌で開催される場所でもある。札幌冬季オリンピックのレガシーもあるし、最近の冬季オリンピックで活躍した多くのメダリスト達を輩出している所でもある。日本が世界に発信すべき北方領土問題もある。これら全てを切り捨ててしまった聖火セレモニーに戸惑いを持った北海道の方々、日本国民の方々も少なくないのではないだろうか。
北海道は、筆者も大好きな所で、何度も数えきれないほど訪問している。北海道には、日本一と言っても良いほどの豊かな自然、森林、山脈、海、そしてその中で暮らす人々や動物たちがいる。そういう自然の恵みにより、お食事も美味しい、スイーツも美味しい。
北海道の歴史を刻んできた人々は、様々である。それは、北海道の自然、動植物を見ても分かるように、多様性に富んでいる。道南から道東へは、筆者も足を運んでいるが、まだ道北、礼文島等には行ったことがない。この離島には、特別の自然があり、訪れた人からは、山歩き等をして、その美しさに感激したと写真等を見せてもらったことがある。道東をドライブした時は、根室の近くから、北方領土は見えるだろうかと、想いを馳せたことを思い出す。北方領土は、今や70年以上もロシアに不法占拠されているが、道南の函館に行けば、そのロシアの文化、宗教も受け入れていた人々の歴史に触れることも出来る。札幌農学校(北海道大学の前身)は、新渡戸稲造らがいた100年以上前は、東京大学よりも教養、英語のレベルが進んでいた。新渡戸は、卒業後、北海道の荒野の開拓や文化の継承にも尽力した。
アイヌ民族に関しては、政府が巨額の資金を投じて国立の博物館を建設し、今回、そこで聖火セレモニーが行われた。
筆者が、北海道の過去の旅でアイヌ民族の文化に触れた記憶は、阿寒湖を訪れた時の事である。アイヌコタンと呼ばれる集落を歩くと、不思議な空気に包まれた。木彫りの民芸品がたくさんあり、熊や梟など、北海道の自然を感じさせる見事な作品だった。木彫りの小さな梟の置物の他、日常的に使用できるものとして、木のふくろうの靴ベラを求めた。今でも、玄関で愛用していて、裏を見たら、「2004.8.1. 阿寒湖 SUZUKI」と彫ってあった。もう17年も前の出来事だった。
最近は国立施設のことばかりが話題になるので、自分の記憶違いかと調べたら、そうではなかった。下記のサイトが詳しい。2019年に更新された情報である。
阿寒湖アイヌコタンでアイヌ文化を知る・触れる・食べる旅 (hokkaido-labo.com)
それによると、「アイヌコタンとは、アイヌの人々が暮らす集落のこと。北海道内にあるアイヌコタンの中でも、戸数36・約120名と北海道で一番大きなアイヌコタンが、ここ阿寒湖アイヌコタンなのです。」との記述があった。
ということは、筆者が訪れたアイヌコタンは本物だった。「博物館」ではなかったわけだ。そのせいか、とても素朴、しかも独特の雰囲気を醸し出し、それを肌で感じることができた。
自然が好き、そこに住む人と触れ合うのが好き、地元生産の物を味わうのが好き、歴史を感じるのが好き、それらが旅の楽しみである。
コロナで限られた旅、オン・ラインや記憶の旅になってしまう事もあるが、それでも、聖火の旅は続く。少し寂しかった北海道だったが、聖火は、本州に戻り、あの「奇跡の一本松」が待つ岩手に入る。
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