2021年6月19日土曜日

聖火、日本をつなぐ(岩手)6月16日~18日

 3月25日に福島からスタートした聖火は、栃木、群馬、長野、岐阜、愛知、三重、和歌山、奈良、大阪から四国の徳島、香川、高知、愛媛とまわり、九州の大分、宮崎、鹿児島から沖縄まで南下をした後、再び九州に戻り、熊本、長崎、佐賀、福岡を通って、本州の山口、島根、広島、岡山、鳥取、兵庫、京都、滋賀を経て、北陸の福井、石川、富山から、新潟、山形、秋田、青森を通過し、北海道まで北上した後、岩手に引き継がれた。


 岩手は、東日本大震災(2011年)で 最も被害の大きかった3県の一つであり、「復興オリンピック・パラリンピック」の理念のもと、聖火リレーは、3日間に渡って行われた。

 下記のレポートをご覧頂ければわかるが、大震災で多くのもの、ことを失いながらも、諦めずに生きてきた方々、車いすや義足の方、悩みのない苦労のない人生の中で、明るく自分なりに一生懸命生きている方々の姿を拝見して、どれほど多くの人々が勇気づけられるだろう。

 今まで、聖火を追いながら、1年延期になったことで、聖火ランナーの姿を見て欲しかった家族等が亡くなり、それが叶わなかったと打ち明けていた方が、少なからずいらした。

 岩手の1日目の動画でお話された聖火ランナーの方も、脳梗塞で倒れたお父様に見せたかったが、この3月に他界された。お父様の脳梗塞をきっかけに始めたマラソンで、今回、聖火ランナーを務めた。お母様は13年間、お父様の介護をされていて、この6月16日、初めて、自分が走る姿を見てもらえたと、感激の涙を堪えながら笑顔で話されていた。筆者の方が、思わず、涙してしまった。

 また、三陸鉄道の途中駅で、横断幕に感謝の言葉(東日本大震災のみならずこの地域は台風19号でも被災されていた)を日本語と英語で記し、日の丸の小旗を振った住民の方々、高齢者も多いように見受けられるが、その清らかな心に、こちらが頭が下がる思いだった。ご自身の被災の苦労よりも、他者への感謝を表現される東北の方々には、尊敬の言葉しかない。

被災地でウニ養殖に挑む経営者「岩手が確かな一歩を踏み出していると発信したい」 岩手県1日目 東京2020オリンピック聖火リレーデイリーレポート (olympics.com)


 下記の2日目のレポートで、筆者が特に感動した一場面がある。

それは、動画の中で、夕方の光の中、二人の聖火ランナーが、海に向かって、聖火を掲げて、拝礼している姿である。今まで、笑顔で走ったり、ポースをとったりする場面が多い中で、この背中しか見えないお二人の姿は、特に印象的だった。

 天皇皇后両陛下が、かつて被災地を行幸啓された際になされたお姿、そして英国王室の方がされた「海への祈り」等が、筆者の脳裏に浮かんだ。

 天皇皇后両陛下(現在の上皇上皇后陛下)がサイパンやペリュリュー島(パラオ共和国)をご訪問された際も、海に向かってお祈りを捧げられた。

津波に耐えた「奇跡の一本松」をオリンピック聖火が照らす 岩手県2日目 東京2020オリンピック聖火リレーデイリーレポート (olympics.com

 「奇跡の一本松」に関しては、筆者が岩手県庁で、達増県知事を表敬訪問した時のエピソードがある。それについては、2018年10月12日の当ブログで書いている(以下のリンク参照)。

未来を築く Building Our Future : 10月10日体育の日(オリンピック散歩道) (kunikosuzuki.blogspot.com)

 また、それを英訳して、Suzuki Kuniko ”The Olympics and the Japanese Spirit" (The 22nd Century Art)にも掲載した。

The Olympics and the Japanese Spirit | Suzuki Kuniko |本 | 通販 | Amazon


   コロナ禍の東京オリンピック・パラリンピック開催となり、命の大切さが問われているが、その命の尊さを一番感じているのが、実は、被災地の方々ではないかと思う。

 彼らが、一番、どうしたら良いか、分かっているのかもしれない。

 昨年、日本全国に新型コロナウィルス(Covid-19)が拡大した時、「最後の砦」となったのが、岩手県だったのも、偶然でないのかもしれない。


 3日目の聖火リレーの模様は以下のサイトでご覧になれる。

世界遺産・平泉に聖火再び「平和への思いはオリンピックに通じる」 岩手県3日目 東京2020オリンピック聖火リレーデイリーレポート (olympics.com)

 筆者は、岩手県には何度か訪問している。小学校、中学校での八幡平林間学校。大学でのゼミ合宿。そして、2018年の盛岡市の訪問では、(財)新渡戸基金の藤井茂理事長、岩手県の達増拓也県知事等を表敬の後、先人記念館を訪れた。

 しかし、以前から訪れたいと思っている平泉にある中尊寺金色堂にはまだ行ったことがない。6月18日(昨日)、聖火は、再び中尊寺を照らしたそうだが、今年の3月11日には、東日本大震災の10周年で、同じ聖火が、復興、平和、いのち等への希望を、中尊寺で灯されたそうである。オリンピック・パラリンピックでは、選手たちが金メダルを目標に競い合う。「金色堂」の金色の光は何を映すのだろうか…。

希望を照らす一筋の光、

五輪の輪に降り注ぐ平和の光、

そして太平洋の海、日本の森林に射す日の光…。

 一年間、東京オリンピック・パラリンピックが延期になったことで、それは、東日本大震災から丁度10周年の年となった。「復興五輪」の理念と、コロナ禍の五輪、どこか重なるところがある。それは、いのちの大切さ、人の絆、助け合い、思いやり、勇気、力、愛情等々…。

 おそらく、私達日本人、そして特に被災地の方々にとっては、一生忘れられない東京オリンピック・パラリンピックになるのではないか。

 そんな事を岩手の人々が教えてくれた気がする。





0 件のコメント:

コメントを投稿